薔薇の香りと共に
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──イギリス
色とりどりの薔薇が咲き乱れる庭園に、静かに建ち聳える古びた洋館。
その中世ヨーロッパを思わせる洋館は、彼らの館─。
『なぁ、今日 クラウスさんの娘が来るって知ってた?』
『ふーん…それ、どこの子?』
『えーと、確か日本。』
『日本人か……どんな娘なんだろうな』
日の光の少ない暗い書庫。
窓枠に腰掛けた赤い瞳の少年と、本を手にした紫の瞳の少年の会話。
彼らは冷めた表情を浮かべながらも…
…不適に微笑んでいた。