薔薇の香りと共に
そうして足を踏み入れた屋敷の中。
外装は如何にも古い洋館って感じだったのに、中は打って変わって凄く綺麗。
高級感が漂ってるし、それに、なんだか…すごく静か…
それと…ほんのりと薔薇の香りがする。
「こちらでお待ちください。」
その声にハッとして、前を向くと、彼がとある部屋のドアを開けて中に入るように促している。
「あ、はい...。」
「すぐにお茶をお持ちしますので、そちらにお掛けしてお待ちください。」
私が室内に入ったのを見届けると、彼は一礼してドアを閉めた。
真っ白で上品なソファー。
それに私は浅く腰掛けた。
広々とした部屋…。
天井には大きなシャンデリアがあるのに、部屋の中を照らすのは縦長い窓からの光りのみ。
赤、白、金、そして黒。
全体的にその四色で統一されている屋敷内。
静かすぎて……少し、不気味…