薔薇の香りと共に
「大丈夫。僕がついてる。君の父親として、僕が君を護るよ。
これからの君の成長を、僕が傍で見届ける。レイコの分も、必ず」
「……」
…お父さん…
まだそう呼ぶことに、何故だか抵抗があった。
「ユエ。これからはここに住まうことになるけど、いいね?」
「う、うん…」
「今日から君は、ユエ・ミッドフォードになる。東雲には、もう戻れないかもしれないけど…」
「…いいの。もう…戻れそうもないから…」
「そうか」
そう言った彼はポンと私の頭を撫でて立ち上がった。
「君に家族を紹介したいんだ。」
「家族…?」
「そう。これから一緒に暮らす家族だよ」
ついておいで、と言って歩き出した彼を私は追いかけた。