薔薇の香りと共に
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とある休日の午後のこと。
気分転換に公園内を散歩していた私は、風の心地よさに目を細めた。
するとその視線の先に、母がいた。
「お母さん…」
「月、ちょっと話さない?」
と、道の脇のベンチに目を向ける。
「わ、わかった」
表情は穏やかだけど、なんだか改まってて戸惑ってしまう。
ベンチに並んで座って、暫く沈黙が続いた。
母はずっと一人で私を育ててくれて、そのために朝早くから夜遅くまでずっと働いてる。
だから、こんなにゆっくりとした時間なんて久しぶり…
「薔薇の香りがするわね、いい香り…」
目を伏せる母の言うとおり、この季節、この公園には至る所に薔薇の花が咲き乱れる。