薔薇の香りと共に
「鏡夜」
と、アヤトくんが呼ぶと、彼はゆっくりと目を開いてこちらに近づいてきた。
私が彼を見て驚いたのは…
彼の瞼の奥に隠されていた瞳が露わになり、それが綺麗な紫の瞳だったから。
綺麗…容姿も含めてそう思わずにはいられなかった。
「鏡夜【キョウヤ】・ミッドフォードだ。よろしくな」
「あ、はい…よろしくお願いします」
「俺も歳は一つしか変わらない。タメ口を聞いて構わない」
「え、…あ、うん、わかった」
クールなんだけど、冷たい人だとは感じなかった。
一つってことは、17歳なんだ…。
彼の持つ落ち着いた雰囲気からなのか、もっと年上に感じた。