薔薇の香りと共に

と、そんなとき…


トントンと、後ろから肩を叩かれた。


驚いて小さく肩がビクッと上がった。


ゆっくりと後ろを振り返ると…


「え…?」


鮮やかな茶色い髪に青い瞳の少年がいた。


「俺はルア・ミッドフォード・アブリル。まぁ、よろしくね」


「あ…はい、えと…よろしくお願いします」


ちょっとだけ気怠そうに言った彼に、たじたじになりながら言う私。


そんな私を見て、彼はキョトンとすると


「別に敬語じゃなくていいんだけど。」


「え…?」


「どう見たって俺の方が年下って分かるでしょ?」


「はい…」


ま、まぁ…分かるよ…私より背小さいし…


「だから、敬語じゃなくていいから。ちなみに俺、14だから。名前もルアって呼び捨てで構わないし」


クスリと可笑しそうに笑みを浮かべた彼に、ハッとして答える。


「あ、うん…わかった。それじゃあルアって呼ばせてもらうね!」


「ん。アブリルってのは母方の姓だから名前と間違えて呼ばないでよ?」


母方の姓…?名前に苗字がふたつも入ってるの??


そんなことを考えてる私の様子に気づいたのか


「ルアの母親はスペイン人なんだ。スペインでは名前・父方の姓・母方の姓と名乗るんだよ」


「そ、そうなんだ…」


彼…えと……く、クラウス…さんが、そう教えてくれた。
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