薔薇の香りと共に
「これで皆の自己紹介も一通り済んだかな」
クラウスさんの漏らした声に私は小さく頷いた。
だけどひとつだけ…、みんな母親が違うみたいだけど…その理由がよく分からない。
みんなはどういう関係なんだろう…?
と、疑問を抱いたそんなとき…
「ユエ。彼等は君の従兄弟だよ。普段は僕よりも一緒に過ごすことになると思うから、何か分からないことがあったら彼等に聞きなさい」
「あ、分かりました…」
従兄弟…ということは…
「えと…従兄弟って、クラウスさんのお兄さんの息子さん達ってこと?」
私の言葉に、クラウスさんは少しだけ、ほんの一瞬だけ悲しそうに微笑んだ気がした…。
だけど、次の瞬間にはにこりと微笑んで
「兄のことを知っているんだね。レイコに聞いたの?」
「あ、うん…」
「そうか」
彼はふと目を伏せた。