薔薇の香りと共に
「日本の血を持つ娘か…」
冷たい瞳…
クラウスさんのものよりも冷えきったそれが、私を捉える。
「名はなんという?」
「…ぁ…ユエです…」
「ユエ…月か。」
何を思ったのか、スッと目が細められる。
ビクッ…!
「兄さん」
私が怯えていることに気づいたのか
クラウスさんが私の前に立ち、私を見つめる彼の視線を遮断した。
お兄さん…ということは、やっぱりこの人がルドルフ・ミッドフォード…。
「どうした、クラウス」
クラウスさんの行動に、フッと乾いた笑みを浮かべる。
「…貴方が何を考えているのかは知りませんが、彼女はまだ混乱しています。余計なことは吹き込まないでください。」
スッと右手を掲げて彼から私を護るように………
護る…ように……
“…大丈夫。僕がついてる。君の父親として、僕が君を護るよ…”
もしかして…
私のこと…護ってくれてる…?