薔薇の香りと共に
…お父さん…
「フッ…」
…そんな乾いた笑い声にハッと意識は戻される。
「何のマネだ?」
…あの冷えきった瞳で、凍りつきそうな程クラウスさんを睨みつけている。
だけど、クラウスさんはそれに怯むことなく彼を見つめたまま。
「言ったはずです。彼女に余計なことを吹き込まないでくださいと」
「侵害だな。私は別に“余計なこと”を吹き込むつもりはない。
これもミッドフォードの者ならば、それなりのことは知っておかなくてはならない。そうだろう?」
そう言ってチラリと私を見る。
「ですからそれは…!」
小さく息を吐いたクラウスさんが彼に反論しようとすると…
「クラウス。それだからお前は甘いのだ」