薔薇の香りと共に

「僕には、あなたが冷めきってるだけだと思いますがね」


「ほう。それだけ引かないとは、その背の娘に父親の強さでも見せたいからか?」


フッと鼻で笑う彼。


そんな、クラウスさんは……私を護ってくれてるだけなのに…


きっと、真実を知ったばかりの私に、これ以上過酷なものを聞かせないためにお兄さんを止めてくれてるんだ。


「クラウスよ、お前は所詮私の弟にすぎん。この意味が分かるな?」


「……」


「この家の主は私だ。ミッドフォードの犬が主に意見するな」


……なんて非道いひと……


犬…?主…?


ふたりは血を分けた兄弟なのに…!


ひどい…ひどすぎるよ……
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