薔薇の香りと共に
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「月、あんたのお父さんはね、イギリスにいるの」


「イギリス…?」


「そう。」


どうしてそんな遠くに…


「もしかして、日本人じゃないの…?」


「……そうね。ルドルフ・ミッドフォード…って、聞いたことある?」


顔は知らないけど…


「…イギリスの有名な企業家よね…?確か日本にもミッドフォード・ホテルっていうのがあるよね?」


「ええ。そのミッドフォード家の当主ね、彼は」


「その人が、何なの…?」


「そのルドルフ・ミッドフォードには弟がいるのね。俳優のクラウス・ミッドフォードっていうんだけど…」


あ、知ってる……


碧眼ですごく綺麗な顔してる人…


そっか、ルドルフ・ミッドフォードの弟さんだったんだ…。


「そのクラウスが…、あんたのお父さんなのよ」


「っ!?……うそ…でしょう……?彼に子供がいるなんて話、一度も聞いたことないのにっ…そ、そんな…うそ…」


「本当よ。信じられないかもしれないけど…、これが事実なの」


本当に、信じがたいものだった。


テレビでしか見れないような人が…私の父親だなんて…
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