彼女には感情がなかった
私の心は壊れている。

自分のことは大嫌いだし、リストカットは安定剤代わりになっていて聞き手と反対の左の手首には、複数の茶色くなった線状根と赤い線状の傷が無数にある。

第一、今現在“私”なんていう一人称を使っているが、この一人称が別に決まった一人称じゃない。
例えば、小説のキャラクター設定なんかには【一人称】は?とか【二人称】を決める項目があったりする。そして、その小説の登場人物は、そこで決められた人称を律儀に守るし、現実世界でも、一人称は大体決まっていて、目上の人の前では「私や僕」と言った公の場に適したものに変える以外は、基本決まっていたりするものだ。

けれど、私の場合、親の前では【名前】が一人称であるし、友達の前で使う【一人称】は、うち・私・あたし・自分――――――。
二人称も、君・あなた・あんた・おまえ・てめぇ―――――――――。


どれも決まりがない。その時その時で言葉が違う。

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