Sweet Honey Baby
 なんとなく、目につくんだよな。


 窓の下、庭先でうちの庭師と何か話しては、楽しそうに笑ってる親が決めた俺の婚約者。


 女なんて、自分勝手で欲深で、ちょっと金を見せればホイホイ俺についてきた。


 初めて抱いた女は、最高に好きな女だった。


 ガキの頃から好きで好きで好きで、好きすぎて可笑しくなりそうなほど惚れた女で。


 でも、結局そいつも、俺が知っている他の女と何ら変わりないってことを思い知らされた16才の春。


 あまりに素直に信じすぎていた自分が可笑しくなった。


 そしたら、バカみたいにその女一筋だった自分を打ち壊したくなって、次から次に俺に体を投げ出す女たちを抱いた。


 どいつもこいつも、雌犬みたいに淫乱で、俺にたかる蛆虫みたいに俺から甘い汁を吸おうと媚びへつらう。


 ニッコリ笑う小綺麗な顔の裏側で、何を考えているのかわかりすぎて…嫌悪でしまいにはその女たちを叩きだすのが俺の常になった。


 どいつもこいつも、虫けら以下だ。


 それでも…このイラつきをどこかで発散せずにはいられない。
 

 女の温かい体温を求めずにはいられなかった。


 あの柔らかな胸の谷間に顔を埋めて眠る時だけ、押しつぶされそうな孤独と寂寥を忘れられる。


 無理矢理にやった女だって、あの女だけじゃない。


 たいていちょっとした小金を持たせれば、引き下がったし、そうでなくても親父がもみ消した。


 その結果が、この政略結婚。


 兄貴を諦めきれないクソババアが、俺にあてがった女。


 成金の親父が欲しがっている由緒正しい家柄で、それでもって斜陽で実家に力がない。


 どうせ、ババアのことだ、他にもいろいろこの女には瑕疵ってやつがあるんだろう。


 それならそれで、やることやってそのうち飽きたら叩きだしてやればいいと、この時の俺は軽く考えていた。

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