Sweet Honey Baby
 おいおい。




 「なにこれ、これってサプリメントぉっ!?」

 「…それ俺の昼飯。朝は脳ミソに活力必要だから食うけど、昼と夜は面倒くせぇから大抵それ」




 マジですか。


 そういえば、朝はこいつが邸に戻ってきて…しばらくの間、毎日お相伴していたけど、夜は一緒したことがなかった。




 「…ねえ、もしかして、ここんとこ朝も見ないけど?」

 「食欲わかなかったから、それ食ってた」

 「へええぇぇ?冗談でしょ?」
 
 「別にそれで十分一日のカロリー取れるし、よほど効率よく栄養素もバランス良くとれんだから、かえって健康的なくらいだ」




 聞いたことあったけど、本当にそんな人間いたんだ。


 それも、飽食しまくっていそうなこんなお金持ちの家の子が。


 驚きすぎて、手に持ったサプリメントの瓶を手渡すことも忘れてしまっていた。




 「いいから、それ寄越せよ」




 つい唯々諾々と手渡し、ザラザラと適当に手に持った錠剤を、まるでお菓子のようにザラザラと水も飲まないで噛み砕いて飲んでいるのを見守る。


 …一也の言ってることもわけるけど、これ絶対体に良くないよ。


 そんな気がしてならない。


 第一、食べることって人生の楽しみの一つだよね?


 その一つをこんな形で無視して、本当にそれでいいわけ?


 口の中の錠剤をすっかり飲みこむと、再びゴソゴソとベッドの中へともぐりこんで、目を瞑りだす。




 「…2時間したら起こして」

 「え、あ、うん」




 つい頷いちゃったけど、これって2時間後もここにいなきゃならないってこと?あたし。









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