Sweet Honey Baby
 「…で、お前はキーホルダーもらったわけだ」




 淡々と俺たちの話を聞いてるのか聞いていないのか、マイペースに飲んでいた崇史がテーブルに放りっぱなしだったバイクのキーにつけていたキーホルダーへと顎をしゃくった。




 「一ちゃん、そんなに飲んだらバイクの運転はダメよ」




 肩を寄せてくるひかるが何気にウザい。




 「これくらいなら飲んだうちに入らねぇよ」

 「まあ、お前にとっちゃそうだろうけど、春はけっこうマッポが煩いよ?」

 「お前も懲りないな」

 「…なにがだよ」




 呆れたような崇史の言い方がカンに触る。




 「理沙帆に裏切られたて、また似たタイプか?」

 「は?なんだよ、似たタイプって」




 崇史の言ってる意味がわからなくって、真面目に聞き返してた。




 「あれ?崇ちゃんもやっぱりそう思った?…て、いうか、崇史もちーちゃん見たんだ?」

 「まあな」

 「どこで?」




 こいつに会わせた憶えねぇぞと、マジマジ崇史を見返す。


 器用に片方だけ眉をあげて、ニヤリと笑った顔がムカついた。




 「お前デートすんなら、もうちょっと意外性のあるところにしろよ」

 「一ちゃんたら、自分のいつも行きつけの店にちーちゃん連れまわしてたね、そういえば。もしかして崇史、俺と一也たちが会ってた時にでも見かけたん?声かければよかったのに」

 「俺もツレがいたからな。一也、ひかるがカノジョにちょっかいかけたら、すごい顔してたな」




 面白そうな顔でカラかってくる崇史の足を蹴り上げようとしたら、ヒョイッとよけられて、テーブルに当たった。


 ガンッ。




 「うわっ、零れるッ」




 慌ててテーブルの上にあったビン類を、ひかるが抑える。




 「バカ。あたるなら、他のにしろ」

 「知らねぇよ、お前がよけるからだろ」

 「アホか。俺がよけないわけないだろ?…アンクレットにしても、指輪にしてもお前が女にやる意味は一緒なんだから呆れるよ。理沙帆にしてやられて、今度はその女に裏切られたらお前また女漁りでもするか?」
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