躊躇いと戸惑いの中で
それにしても、子供みたいなんてこといわれるんだなぁ、私って。
普段、ガツガツ仕事をしている分、店舗のみんなからは一歩引いたところから見られているし。
上司っていうのもあって、接し方にだって一歩も二歩も引かれている。
だから、子供みたいなんて単語が私に当てはまるなんて、驚きだった。
乾君だって、最初は私のことを恐がってるんじゃないかって、思っていたしね。
「沙穂は、結構無邪気だって思うよ」
「無邪気?」
この私が?
驚きに目が丸くなる。
ズケズケと物を言うとか。
度胸がすわっているとか。
怒らせると恐いとか。
残業マニアだとか。
そんなことならよく言われてきたけれど、無邪気って。
乾君て、私のどんなところを見てきたんだろう。
私の気がつかないところで、自分でも知らない素の私を観察されていたのかと思うと、とっても恥ずかしいんだけど。
「そんなに、無邪気かな」
照れくささに、つい笑って誤魔化してしまう。
「うん。好きなコーヒーの事になると、特に」
ニコニコと私を見つめて、また美味しいの飲ませてよ、なんて穏やかな顔をする。
「もちろん」