躊躇いと戸惑いの中で
度々
度々
聡太がそばにいてくれるようになって、数日が過ぎていた。
会社でいちゃつくつもりは毛頭ない。
仕事に私情は禁物だ。
だけど、社内で顔を合わせることが余りないせいか、私の携帯はマメな聡太からのメッセージを受信してよく震えていた。
一緒の場所で働いていても、私は店舗に顔を出したり、営業できている他社との商談がよくあり、会議にもよく借り出される。
聡太は、終日コンピューターに向き合っているか、時々、出来上がったPOPの設置で各店舗へ出かけている。
おかげで、会話を交わすのは挨拶くらいのもので、社内ではすれ違いの日々だった。
それを補うかのように、就業時間中は彼からよくメッセージが流れてくるんだ。
それは、主に他愛のないもので。
いいPOPができたと、画像添付のものとか。
何処何処の店長に褒められたとか。
最近、アルバイトとも少しずつだけどうまくいくようになったとか。
お腹空いた、とか。
最後のは、本当に独り言みたいでつい笑いが漏れる。
些細ないことだけれど、聡太から流れてくるそのメッセージは、忙しくてキリキリしている私の感情を宥めてくれていたし。
そんな些細なことに幸せを感じていた。
新店の予定は今のところないけれど、そうなってくると必然的に既存店の方へと社長の厳しい目が向いてくる。
何でも屋の総務としては、あれもこれもと社長から依頼が飛んできててんてこ舞だ。
できれば、私の下に新人でもいいから一人つけて欲しいくらい。
そんな日常の慌しく厳しい毎日に、彼はほっと一息をつかせてくれている。
今も、聡太から届いたメッセージを眺めながら頬を緩ませ油断していたら、突然上から声が降ってきた。