躊躇いと戸惑いの中で
悔しさ




    悔しさ






店舗の三分の一ほどの改善が終了した頃、また一つ忙しくなりそうな雰囲気が漂い始める。

デスクに向かって書類のチェックをしていると、渋い顔をした河野が現れた。

「あ、お疲れ」

ぬぼっと目の前に現れた河野は、脱力したような雰囲気を纏っている。

「どしたの?」

ペンをクルクルと回しながら訊ねると。

「今、社長と話をしてきたんだが」

そこまで言って大きく溜息をつく河野は、まるで重い何かを背中に背負ってでもいるみたいにどんよりとしている。

ちょっとちょっと、何よその背中に背負った黒い影は。

こっちまで巻き込まれそうで、思わず身を引いた。

「社長になんか言われたの?」

河野が失敗なんてするはずないし。
だとしたら、異動とか?
もしも異動なんてことになったら、相談相手もいなくなるし私も困るな。

まさかっ、もう次の新店とか!?

今度は何処よ。
やるとしたら複合の大型店よね。
まさか、そこの店長をやらされるなんて事は、ないよね?

瞬時に色んな可能性を考え、思わず不安な顔を向けてしまう。


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