アイツと共に、未来へ
「伊織くん!伊織くん!!」

俺を呼ぶ声がして俺は目を覚ました。寝てしまっていたようだ。一瞬、ここがどこだったか分からなかったがすぐに思い出した。

「あんまりにもぐっすりと寝てたから寝かしておいたけど、そろそろ帰った方がいいんじゃない?」

オギワラが指差した時計は午後4時30分を指していた。確かにもう寮に戻ったほうがいいだろう。

「じゃあもう帰る。今日はサンキュー」

そう言って部屋を後にする。オギワラは玄関先まで見送りについてきてくれた。

「また昼間ならいつでも来ていいよ」

オギワラのその言葉を聞いてから、俺は帰路についた。

寮までは徒歩で15分ほどかかった。寮に戻ると寮母さんに軽くたしなめられた。確かにいつもよりは戻るのが遅

かった。悪かったと思いつつ、聞き流した。寮の夕飯のまでまだ時間があるので自分の部屋に戻った。部屋にはヒロキがいた。――いつものことだが。

「おかえり!」

ヒロキは俺を見ると声をかけ、続けた。

「明日は修行式があるし、渡すものもあるから教室に来いってヨシカワが言ってた」

嫌だと思ったが、終業式くらいならいいかとも思った。ヨシカワの言ったことを無視するのも気が引けたので俺はしぶしぶ明日は学校に行くことにした。

「分かった、行く」

ヒロキに自分の意思を伝えた。

しばらくして夕飯を食べ、風呂に入ってから、眠る準備をした。ベッドの上で横になると今日の昼間のことが思い出された。懐かしいような、寂しいような不思議な気持ちになった。きっと、オギワラの家で見た写真のせいだろう。俺にもあんな家族がいたらなと思いながら俺は夢の中へといざなわれていった。
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