アイツと共に、未来へ
#3
夏休み初日の朝。いつもと同じ時間に起こされた。同室のヒロキは昨日のうちに自宅に帰っているので今日からしばらくこの部屋では一人で過ごすことになる。

だらだらと服を着替えて、朝食を食べるために食堂に向かう。食堂も人はまばらだった。自分の分の朝食をとり、空いていた同じクラスのコウダイの斜め向かいの席に座った。

「なぁ、朝めし食い終わったら練習付き合ってくんね?」

コウダイはサッカー部所属だ。サッカー部は早朝から合宿に出発していたが、それは上級生だけらしい。周囲を見渡すと他にも一年生のサッカー部がちらほらいた。

「ちょうど一年が奇数だから、二人一組でやる練習とかやりづれえんだ。コーチも友達を一人連れて来いっていうし・・・」

コウダイが続けた。

「三人一組でやればいいんじゃね?素人の俺が入っても練習になんねえと思うぞ?」

俺は正直乗り気ではなかったので、正当な意見を言って付き合わない口実を作った。だが・・・。

「大丈夫、大丈夫。伊織は体育の時も上手かったし、杉村も褒めてたぞ」

杉村というのは体育科の教員であり、サッカー部の顧問でもある。今は引率としてサッカー部の合宿について行ってるはずだ。しかし、コウダイはどれだけ俺を練習に付き合わせたいのか。

「だけど、俺お前以外のサッカー部員知らねぇぞ?」

俺は必死に抵抗する。

「なら俺と組めばいいじゃん。ほかの奴らともすぐに仲良くなれるさ。」

結局、俺はサッカー部の練習に付き合うことを承諾してしまった。
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