アイツと共に、未来へ
サッカー部の練習に付き合った次の日。俺は食堂で朝食を食べた後河川敷に向かった。その道の途中に設置されて

いる自動販売機でスポーツドリンクを買った。朝の8時30分頃だが、すでに暑い。舗装された道から河川敷に降りる。


明るく照り付ける太陽、その光を反射してキラキラと輝く水面、青々としている草花、モクモクしている入道雲。

そして、短い命を削りながら鳴いている蝉。この空間は「夏」そのものを表していると思った。俺の大好きなこの

空間をしばらく歩いて桜の木の下に腰掛けた。この河川敷は河に沿って等間隔で桜の木が植えられている。桜の花

が咲くシーズンのここの景色は見事なものだ。今は鮮やかな緑の葉が茂っている。葉桜も悪くないな、と思う。やはりこの場所は最高だ!



俺は河を眺めながら先ほど買ったスポーツドリンクを一口飲んだ。買ってからしばらく経っているからキンキンに

冷たいというわけでもなかったが、十分に冷えていた。学校からこの場所までの距離はたいして遠いわけでもな
かったが、しばらく河を眺めながら休憩した。


そのうちキラキラした河に引き寄せられた。手を河に入れ、水に浸けると気持ちのいい温度だった。思わず河に足を入れたくなったので川辺に腰掛け、靴と靴下を脱ぎ、足を水の中に沈めた。気温が暑かったので、冷たい水は本当に気持ちよかった。目映く輝く水面を漠然と眺めていると、頭の奥の方から考えたくない、しかし避けることも

出来ないことが浮かんできた。あと数週間したら自宅に帰らなくてはならない・・・。そう考えると気が重くなる。帰らずに済む方法をいろいろと考える。しかし、帰る以外の方法はない。中学生なのでホテルなどに宿泊する
わけにはいかない。泊めてくれる親戚の宛てもない。自宅に帰るしかないのだ。


しばらく漠然とそのことを頭の中でぐるぐると考えながら足をひんやりとした河の水に浸けていた。
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