アイツと共に、未来へ
幾ばくか時間が流れただろうか。頭の中の憂鬱はまだ残っているが、だいぶ精神的に楽になった。

そう思っていると、遠くの方から俺の方に向かって歩いてくる人影を見つけた。あいつか?と思って俺は身構えた。

その予想はあたってしまった。オギワラだ。

「まーたお前かよ」

おそらく俺は今、すごく怪訝そうな顔と声をしているだろう。だが、オギワラは不快に思うようでもなく俺から1メートルほど離れたところに腰かけた。

「おはよー」

オギワラは先程の俺の顔見なかったように続けた。

「昨日は何してたの?」

「サッカー部のやつらの練習に付き合ってた」

「ふーん、スポーツ好きなの?」

オギワラは愛想よく笑いながら俺に話しかけてくる。

「別に・・・」

俺がそう言って答えてしまったので、しばらくの間気まずい沈黙の間が空いた。

「今日も家に来ない?」

気まずい空気を変えたかったのか、オギワラがしばらくして話しかけた。

さて、どうしたもんだろうか?

そうやって俺が躊躇していると、

「なんか用事あるの?」

オギワラが不安そうに尋ねてきた。

「いや、用事があるわけじゃないんだけど・・・」

そう、俺が呟いた瞬間オギワラの顔が更に明るく晴れ渡っていった。

「じゃあおいでよ!」

「なんでそんなに俺を家に招きたがるんだよ」

オギワラの軽いしつこさに少しうんざりしながら、俺はオギワラに聞いた。

「寂しいんだ・・・」

そう言ったオギワラの横顔が本当に寂しそうで、心がそこから動けなくなった。あんなに寂しそうな顔を見て俺はオギワラの誘いを断ることができなくなった。
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