アイツと共に、未来へ
  足取りが重いながらも、学校へ到着すると、ちょうど午後の授業が始まる少し前だった。

「よお!」



俺がようやく見慣れてきた教室に入ると、寮のルームメイトでクラスメイトでもあるヒロキが声をかけてくれ
た。明るいイイヤツで、気も合う。


俺は久しぶりに自分の席に着いた。――といっても、梅雨の時期は割りと通っていたんだけど・・・。

「午後からの授業何?」

ろくに、学校に通っていない俺は時間割を覚えていなかった。

「数学と地理」

ヒロキはそう言って教科書はこれだぞ、と言わんばかりに教科書を俺に掲げて見せてくれた。


午後からの授業はぼんやりと聞き流していた。教室に入って来た先生は俺を見て少し驚いたようだったが、気にせずに授業を進めていた。緩やかに流れる時間が少し退屈だったので、黒板に目を向けた。暇つぶしも兼ねてほとんど書き込まれていないノートに板書をメモしたり、練習問題を解いたりした。
 

数学と地理の間の休み時間にはクラスのヤツラと話した。ただ、クラスのヤツラが話すのはゲームやテレビの話ばかり。入学以前からテレビを見せてもらえた事も、ゲームを与えてもらった事もほとんどない俺はあまり話についていけなかった。だけど、ただクラスのヤツラが楽しそうな雰囲気の中で話していると俺も自然に顔がゆるんだ。
 

学校も悪くない。この教室に足を踏み入れ、クラスのヤツラと同じ時間を過ごす度、痛い程心に滲みた。
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