鉄の女には深い愛情を
自宅に帰ってきました!!


夜うちに挨拶に来ると言ってたので


私も課題をやって
お風呂に入ったら
昨夜の疲れもあり寝てしまった。


ーー健夫サイドーー


実家に帰ると母さんが待っていた。


「おかえり健夫!」


「ん。ただいま…親父はどれくらいかかる?」


「8時くらいになっちゃうって。
でも、それでも健夫のために早く帰って来るんだからわかってあげてね。」


「わかってる。」


それから、ほとんど何もない部屋でボケーッとして過ごす。


ベットしかない殺風景な部屋。


昨夜のこと
今朝のこと
昼におきたこと


ボケーッとしながら考える。



天はどうしてあんなにカワイイんだろう



噴水で俺を待ってる時も
しょっちゅういろんな男から声かけられてた。



でもあいつは一切無視を決め込む。



無視された奴らは最低な暴言を吐くけど
全く気にも止める様子もない。



たまに目を覗き込む輩もいたけど
そういう奴には感情の無い表情で見返すだけ。


なのに、俺を見つけて俺と目が合った瞬間


パァーーーッと晴れやかな顔に変わって
誰よりも美しい顔でニッコリ微笑むんだ



俺だけに見せる笑顔



たまらなく愛しい。



でもその笑顔は危険でもある。


他の奴らも見てしまうということ。


天は全く気にする素振りもないけど
運良く見た奴らはみんな真っ赤な顔して
見惚れて固まってるんだ。


ニコッとするだけで何人もの男が心持ってかれるんだ。


その笑顔を見せたくなくて俺の中で閉じ込めるんだけど時すでに遅しなんだよな



感情の無い表情でも天は充分美しくて
モテるのに
笑顔の威力は爆弾を放り込むようなものだ。


心配でたまらないんだけど
なぜか、安心できる。


だって、あいつは心を開いた人間に対してはどこまでも真っ直ぐだから。


今だに信じられないけど
俺は天の心を開けたんだ。


天は俺を好きになってくれたんだ。


俺は絶対に天を離したくない
離れたくない


だから今日は絶対に成功させてみせる


そう心に硬く決心し


静かに目を閉じた。



しばらくして





「健夫……帰ったぞ!
さぁ、行こうか」



親父がニヤッと笑って


「さて、勝負の時間だ
正人は手強いぞ
まずは綾と由里子ちゃんを
味方につけろ」


ーー健夫サイドおわりーー

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