妄想女と浮気男
「うん。なんか罪悪感を感じたみたいで辞めちゃった」


「罪悪感?何したの?」


「僕とセックス」


蒼太は高くて少しクセのある声で平然と言った。


「罪悪感なんて感じる必要ないのに。半ば無理矢理だったんだし」


なぜか微笑む蒼太に私は呆れた。


そうだったわ。

可愛い顔に騙されたらいけない。

こいつは最低な男だ。


政治家である父親の金と権力を使って、好き放題している。


可愛い顔をした小悪魔……いや、悪魔。


そして……


私のたった一人の友達。



私は子供の頃から人とのコミュニケーションが苦手だった。


だから、友達なんていなかった。


家が貧乏だったため、いじめにも遭っていた。


一方蒼太も男のぶりっ子などと言われ嫌われていた。特に男子から。


そんな私達は気が付いたら一緒にいた。


お互いの孤独を埋めるかのように……。



「そうだ!璃子ちゃん、新しい家政婦になってよ」


「嫌よ、面倒くさい」


「通うのが面倒くさいなら、住み込みで働けばいいじゃん。あっ!それかいっそ結婚しちゃう?」
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