妄想女と浮気男
「そうかしら?」


「うん。ドーナツ買ってきてくれたし。なんかいい事あった?」


「……まぁね」


「何?何?もしかして、彼氏ができたとか?」


自然と口元が緩んでしまった。


「えっ、彼氏できたの?!」


蒼太は、大きな目を見開いて、私を見てくる。


そんなに興奮しなくてもいいのに。


私に彼氏ができるのは初めてじゃないわ。


私はそう思いながらも頷いた。


「マジかぁ!詳しく聞かせて!」


「いいわよ」


だって、充君の事を話したくてここに来たようなものだもの。



私は充君との出会いや充君のプロフィールなどを蒼太に話した。

家まで送ってもらった事や、もっと一緒にいたいと言われた事も話した。



「ふ~ん……杉下充ね」


なぜかはわからないが、蒼太は充君の名前を頭にインプットしたようだ。


「この恋は今までの恋と違うの。こんなに本気になったの初めてよ」


私は愛しい愛しい充君の顔を思い浮かべながら言った。


「そっかぁ」


私達を祝福するかのように蒼太は微笑んだ。
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