妄想女と浮気男
「そっかぁ……」


「璃子は何歳なの?俺、この前、二十二歳になったばっかり~」


「私も今年、二十二歳になりました……」


「タメじゃん!」


充君はちょっとテンションが高めな男の子のようだ。

テンションが高めな人は苦手だ。

でも、充君は優しいし、話してると楽しい。


「ってか、璃子、どこかに行くところだったの?」


「うん、本屋に……」


「今日は行くのやめて、ゆっくり休んだ方がいいよ」


「……そうかな……」


「ねぇ、璃子って、一人暮らし?」


なんでそんな事聞くのかしら?


「……うん」


「そっかぁ……家まで送っていくよ」


充君……


あなたはやっぱり、優しいのね。


私の小さな疑問は、どこかに飛んでいった。


本に対する執着心と一緒に……。


本屋に行くより、家に着くまで充君と過ごしたい……そう思った……。


「……じゃあ……お願いします」
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