MY☆HERO





「お前が殴られてるの知って帰らすほど俺らひどくねぇよ?」


口角をあげそう言ってきた。


言ってくれた言葉は嬉しいけど、それって逆に言えば知らなかったら帰してたってことだよね。



「し、知らなかったら帰してたでしょ?私は、そういう心配はいらないの。だって自分のことだから。自分のことなのに急にあなたたちを巻き込むわけにはいかないの」




私が言うと瑠衣は少し黙ったあと再び口を開けた。


「そんなに俺らのところにいるのが嫌?そんなに帰りたい?」


別に、瑠衣たちのもとにいることは嫌じゃない。むしろ、居心地がいいぐらいよ。


でも、でもっ・・・・。




本音は帰りたくない。ここに居たい。迷惑じゃないって言ってくれるなら居ときたいよ。



だけどっ、真司さんは私がもう一日無断宿泊したからきっと怒ってる。しかも、今日もすぐ帰ってないから。



怒ったら何するかわからない。


だから、なるべく早く帰らなきゃって思って。



もう、私はどうしていいのか自分でもわからない。


「ハァー・・・・」


瑠衣くんが盛大なため息をした。

全然答えない私に怒ったのかな。しょうがないよね、早く決めない私が悪いんだから。


でも、これで瑠衣くんは怒って私のこと嫌いになってくれたら簡単にここを出られる。


「あっ、の、ごめっ」


私が謝ろうとした時にまた言葉が被った。


「なら、言い方変える。ここに住めよ。拒否権なし」


なっ、なによ急に!!拒否権なし?!私にだって決める権利ぐらいあるはずよ!!


そう言おうとしたのに、口は正直で。


「あっ、ありがっ、と・・・・住む」


そんなことを口走っていた。
< 35 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop