MY☆HERO
「クソ―、金欠だー」
希穂が財布をパンパン叩きながら薄いアピールをしている。
「ごちそうさま。美味しかったよ」
「でしょーね」
本当に、愚痴から恋バナまで高校生らしい会話をしていた。
「あ、今何時?」
希穂に聞かれたから私はスマホを見た。
「ヒッ」
私は思わず、小さな悲鳴を上げてしまった。
幸い、希穂には聞こえてなかったようだ。
不在着信、23件。メール、43件。
全部、真司さんからだ―――――・・・・・。
「伊織ー今何時ー!!??」
「あっ、ごめん・・・。9時24分だよ」
「マジか!!早く帰ろっか」
家までは二人ともそんなに遠くはない。
・・・・でも、本当に・・・・帰りたくない・・・。
真司さん、絶対怒ってる。
何されるかわからない。
でも、こんなに電話とメールしてくるってよっぽどな用事があったのかな?
それなら、早く帰らないといけないけど、殴られるのは目に見えてる。