呪いの着メロ
そう話し始めた三嶋の口調が、何故かやけに色っぽく聞こえたのは気のせいだろうか。聞き流すつもりだったのに、思わず『日本の怖い昔話』を流し読みしながら聞き入ってしまった。
「続けろよ」
俺がそう言うと、三嶋は狙い通り、といった風に紅い唇を大きく横に広げた。口紅でも塗っているのか?
「いいよ。えっとね、ある時ね、音楽の才能に恵まれた女の子がいたの。親が音楽家だったのね。だから当然のように親たちは娘にも音楽の道に進んでもらいたくって、幼いときから英才教育を受けさせていたんだって」
ありがちな話だな。
「もちろん、その女の子も音楽は嫌いじゃなかったの。むしろ好きだったの。けどね、成長して、学校に通うようになって、友達ができてから同じくらい好きなものが別に見つかったのよ」
「なんだよ?」
すると三嶋は棚から無作為に選んだ一冊の本を取り出して、俺に見せ付けた。
タイトルは『片目の少女』だった。
「本よ」
「・・・・・・で?」
「女の子は本の世界に夢中になったわ。そりゃそうよね。今まで音楽しか知らなかったんだもん。新しい刺激に夢中になるのは当然よ」
まるでその女の子が三嶋本人のような口ぶりだな。
「けど、その両親は許さなかったの。女の子が本の世界に入ることを・・・・・・でも、女の子はどんなに反対されても本を捨てることはできなかった。そして音楽も同じくらい好きだから、ある日女の子はこう言ったの。「私、将来、シンガーソングライターになる」ってね」
「・・・・・・なんでそうなるの?」
いつの間にか、俺は三嶋に向き直っていた。
「分かんない? シンガーソングライターって、作曲と作詞、両方するんだよ。つまり自分の作った曲に自分の物語を載せることができるのよ。その女の子にピッタリじゃない?」
自分の事のように嬉しそうだな。
「続けろよ」
俺がそう言うと、三嶋は狙い通り、といった風に紅い唇を大きく横に広げた。口紅でも塗っているのか?
「いいよ。えっとね、ある時ね、音楽の才能に恵まれた女の子がいたの。親が音楽家だったのね。だから当然のように親たちは娘にも音楽の道に進んでもらいたくって、幼いときから英才教育を受けさせていたんだって」
ありがちな話だな。
「もちろん、その女の子も音楽は嫌いじゃなかったの。むしろ好きだったの。けどね、成長して、学校に通うようになって、友達ができてから同じくらい好きなものが別に見つかったのよ」
「なんだよ?」
すると三嶋は棚から無作為に選んだ一冊の本を取り出して、俺に見せ付けた。
タイトルは『片目の少女』だった。
「本よ」
「・・・・・・で?」
「女の子は本の世界に夢中になったわ。そりゃそうよね。今まで音楽しか知らなかったんだもん。新しい刺激に夢中になるのは当然よ」
まるでその女の子が三嶋本人のような口ぶりだな。
「けど、その両親は許さなかったの。女の子が本の世界に入ることを・・・・・・でも、女の子はどんなに反対されても本を捨てることはできなかった。そして音楽も同じくらい好きだから、ある日女の子はこう言ったの。「私、将来、シンガーソングライターになる」ってね」
「・・・・・・なんでそうなるの?」
いつの間にか、俺は三嶋に向き直っていた。
「分かんない? シンガーソングライターって、作曲と作詞、両方するんだよ。つまり自分の作った曲に自分の物語を載せることができるのよ。その女の子にピッタリじゃない?」
自分の事のように嬉しそうだな。