呪いの着メロ
「でも、その女の子の両親ってのは、クラシック音楽の人達で、当然、反対したの。「とんでもない」ってね。でも諦め切れなかった女の子は高校生になったある日、初めて自分自身で作詞作曲しようと思ったの。一曲作って、レコード会社とかに売り込んで認めてもらえば両親も認めてもらえると考えたのね」

「それで?」

「作曲はすぐにできたわ。両親の英才教育のおかげで。でも、なかなか詞のほうができなかったみたい。モタモタしているうちに両親にバレて止めさせられたわ」

「それから、どうなったんだよ?」

「・・・・・・酷い、仕打ちを受けさせられたんだって」

 三嶋は急にゾッとするような声になった。まるで俺を怖がらせているようだ。

「二度と本が読めないようにしたのよ。フフッ、どうしたと思う?」

 不気味に笑う三嶋に俺は普通にビビッた。少し腰砕けになって、こけそうになる。

 みっともねぇ・・・・・・。

 そんな時、ふと背後から声が聞こえる。

「どうしたの?」

 霧谷だった。どうやら本来静かにしていなければならない図書室にしては、声が些か大きかったようで、霧谷たちにも届いていたようだ。康介も一緒にいる。

「図書室では静かにね」

「あ、あぁ・・・・・・」

 康介の注意に俺は素直に返事をするしかなかった。三嶋なんて、お茶目に舌なんか出してやがる。さっきの怖い演出なんて微塵にも感じさせやしない。

 あいつ、さっきのこと康介達に話やしないだろうな?

 あとで口止めしておこう。

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