呪いの着メロ
 それは、身を凍らされるような冷たい声だった。

 電話越しというより、直接耳元で言われているような、そんな気分だった。

 俺は反射的にケータイを放り投げてしまった。

 そして、逃げるように部屋を飛び出す。


 誰でもいい! 助けてくれ!


 一階に降りれば、母さんや父さんがいるはずだ。


 そうだ、笑われたって、呆れられたっていい!


 確かに聞いてしまったんだ!


 あの、片目の少女の霊の声を!


 俺は階段を駆け下りようとしたが、できなかった。


 見てしまったからだ。


 階段の下に、あの女の子の姿を・・・・・・


 セーラー服を着た女の子だ。

 ダラリと伸びた黒い髪で顔が隠れてよく見えないけど、左目の眼帯だけは確認できた。


 間違いない、片目の少女だ。


 ―――歌ができない


 呟くような声は離れているのに距離感を感じさせない。すぐ耳元で囁かれているようだ。

 まるで、すぐ耳元に片目の少女がいるかのように・・・・・・


< 31 / 41 >

この作品をシェア

pagetop