呪いの着メロ
 俺は発狂しそうになりながら、部屋に戻った。戻ってどうなるものでもないが、逃げ道が他に思いつかなかった。

 逆にいえば、自ら追い込まれたのかもしれないが、もう遅い。

 布団を頭から被って、ひたすら恐怖と戦う。

 突然、また着メロがなる。

 聴き覚えのない着メロだ。

 きつく目を閉じて、心の中で何度も止めろ、止めろと叫ぶ。

 全身が凍ったように寒い。まるで冬だ。


 ―――歌ができない


 まるでリピート再生しているCDのように片目の少女はその言葉を同じ口調で繰り返した。その度に俺は凍えそうな寒さに震える。

(どうなるんだ? 俺は・・・・・・)

 『呪いの歌』を聴いた女の子の両親は、その女の子と同じように目が見えなくなったんだよな・・・・・・ってことは俺も・・・・・・

 そう考えた時、俺はうっかり目を開けてしまった。

 そして、片目の少女を目の前で直視してしまった。

「うわぁぁぁぁっあっぁつあっ!!!!」

 俺は布団をふっ飛ばし、ベッドから転げ落ちた。ベッドの上の片目の少女が俺を見下ろしている。

 悲しそうに。

 俺は彼女を知っていた。

 そう、彼女は・・・・・・
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