呪いの着メロ
 そう思った時、俺のケータイが着メロを鳴らした。

 今度は、いつもの流行歌。俺が設定した奴だ。

 片目の少女の動きが止まる。

 やがて、着メロが止まり、留守録に切り替わると、あの『呪いの着メロ』とそれに加えて


 歌声が聞こえてきた。


 それは、あの『呪いの着メロ』に歌詞がついた歌だった。


 電話越しでも綺麗に聴こえ、こんな状況なのに、俺は聞き惚れてしまった。


 不思議なことに俺の体に温かみが戻り、動くようになった。すぐに片目の少女から離れ、ケータイの通話ボタンを押す。

 録音時間がきて、この歌を途切れさせたらアウトだと思ったからだ。

 片目の少女は背中を向けているので俺からは顔が見えない。

 だが、驚くほど、呆然と立ち尽くしている。


 そして、ケータイから歌声が終わると、片目の少女がゆっくりとこちらに振り返った。


 俺のケータイを握る手につい力が入ってしまう。

 だが、そこにいたのは不気味な片目の少女ではなかった。

「三嶋・・・・・・?」

 俺が呟いたその瞬間、まるで幻だったかのように、彼女は姿を消していった。


 本当に幻だったかのように・・・・・・


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