呪いの着メロ
 夕食も終わり、明日までの数学の課題も終了。予習復習をやるほど俺は優等生ではない。

 風呂に入った後は、自分の部屋で眠くなるまで雑誌を読んだり、ゲームで時間を潰すのが常だ。夜遊びをするほど俺に金はない。

「ふわぁ…」

 欠伸が出たということは、眠気が出てきたということだ。時計を見ると、まもなく日を越えようとしていた。ようするに零時前だ。

 ふいに、三嶋の言葉を思い出す。


 ―午前零時丁度に鳴った着メロに出ちゃうと大変なことになっちゃうんだって!-


「アホらしい」

 ホラー映画だとここで本当になるのだろうが、現実にはありえない。

 そう、ありえるとしたら……


 ~~~♪~~~♪


 突然、鳴り響いた着メロに俺は思わずゲームのコントローラーを放り投げてしまった。同時に画面の俺の分身がモンスターに体当たりされて、死を迎えさせられた。

(なんだよ・・・・・・こんな時間によ)

 俺はゲームオーバーを告げるテレビ画面を一睨みして、流行歌の着メロを鳴らす携帯電話に手を伸ばす。サブディスプレイに映るその時間を見て、俺はギョッとした。

(嘘だろ。午前零時……?)

 すぐ部屋の時計を見て確認。確かにまだ零時までにはあと五分ある。

 心臓の音が、急に高鳴った。

 また三嶋の声が甦る。嫌な部分だけ……


 ―大変なことになっちゃうんだって!―


(大変なことって、なんだよ!?)

 落ち着け、俺! 相手、そうだ、相手は……

 非通知!?

 これが、『呪いの着メロ』……出るとどうなるんだよ?

 逆に出なかったら!?

 ど、どうすべきか!?
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