愛、あんど、哀。
穏やかなふたり暮らしは、
ほんの少ししか続かなかったけれど。


両親が亡くなって3年が経った頃のこと、
おばあちゃんは認知症を伴ってしまったのだ。

小学校に入学したばかりの少女に、介護などできるはずもなく。

私は孤児院に入れられることとなった。


幼稚園にも小学校にも普通の生徒と変わらず通った。
幼馴染みの″初瀬 悠利″。彼は、気付くといつも隣にいた。

生まれたときからずっと一緒だったこともあるのだろう。
家も隣で、親同士の絆も深いものだった。


中学生になると同時に、ひとりで暮らすことを決意した
私はもともと住んでいた家に戻ってきた。


そして今日は、待ちに待った入学式の日。


「どんな子と同じクラスになるのかなっ」


妙な緊張感と共にわくわくしながら
学校へと進む足を速めていく。


「お前、歩くの速ぇーよ! しかもニヤついてるし」


……!!

しまった、完全に忘れていた。
悠利と一緒に登校する予定だったんだ。
慌てて、緩んでいた顔を引き締める。


「中学生になるんだよ!? 楽しみじゃん、早く行こーよ」


そう言って、彼の手を無理矢理ひっぱり、走った。
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