私少年漫画家してます
そびえ立つ大きなビル。
街を歩くのは仕事帰りのサラリーマンたち。みんな足早であるいていく。
都内でも少し外れの方に住んでいる私にとって、こんな大人が行き交うところに来るのは少し荷が重い。
やっぱり駅まで川岸さんに迎えに来てもらえば良かった。
ぼろぼろになりながら、なんとか目的のビルにたどり着いた。
「あ、京香ちゃん待ってたよ!」
いつもは憎たらしい川岸さんの顔も今日ばっかりは少し安心する。
って私これからなに言われるか分かんないんだった。
「大丈夫?なんか疲れきってるね」
「田舎の高校生にとってこの時間のビジネス街は敵です。」
そう私がいうと川岸さんは少し笑った。前言撤回。やっぱこいつ憎たらしいわ。
「じゃあ、14階に移動するから着いてきてね。」
「14階…あれ?少年誌って10階のはずじゃ?」
一度来たきりだったけどキリがいい数字だったから覚えてる。
私が連載している雑誌の編集部は10階だったはず。毎日のように通う川岸さんが間違うわけはないけど、確認してみる。
「今日行くのはちょっと別のとこなんだ。まぁ僕自身あんまりいったことがないフロアなんだけどね。着いてきて。」
そう言われればついていくしかない。いったい何のフロアなんだろうと考えながら川岸さんの後に続いてエレベーターに乗る。そして川岸さんは14と数字を押した。