smile~キミの笑顔~
急がなくちゃ!
準備して教室から出ようとしたその時
「おい鈴本」
「え?
わっ!」
突然呼び止められたと思ったら
物を投げ渡された。
キャッチしたのは黒い折りたたみ傘…。
呼び止めた奴…松岡は何食わぬ顔で教室を出ようとする。
「ちょっ!なにこれ!」
「なにって
どっからどう見ても傘だろ(笑)」
「いや!そうじゃなくって…」
使っていいの?
って聞きたいけど……
なんか聞きづらい…。
「バイト、急いでんだろ?
早く行けって」
えーっと
コレを使えってことだよね?
「松岡は?」
「俺はもう1本あるに決まってんだろ」
そう言って自慢気に自分のカバンを叩く。
それなら…
「ありがとう!!
明日返すね!」
「おーう」
「美咲、琴音バイバイ!」
「じゃあねー」
琴音と美咲の返事を聞くと私は走る。
走り去る私に背を向け、松岡は体育館に向かって歩き出した。