smile~キミの笑顔~
たしかに涙も止まって…
よかったんだけど
頭の中はそう簡単に切り替えてはくれなくて
ずっと松岡の後ろ姿が離れてくれない。
バカ松岡…
早く私の頭から消えてよ…
心にもない言葉を唱える
無意味なのを知ってて…
でも、早く忘れてしまおう。
この気持ちを
今までだって何度かあったじゃん
好きな人に相手がいるなんてさ…
今までだって……………あったじゃん…
そう自分に言い聞かせる。
「真依…大丈夫…じゃないよね。
ごめん」
「ううん」
それから美咲は黙ってしまった。
いつも元気な美咲が…。
しばらくの沈黙…
口を開いたのは美咲
「っと
私この後ちょっと用事あるんだ
ごめん!
先帰るね!」
私の左を歩く琴音が私の右にいる美咲を見る。
「わかった。
そのまま走って転ばないようにね」
「私そんなバカじゃないしー!
それじゃお先に!」
私を挟んで交わされる会話
いつもの会話なのに今は私だけ別の場所にいるように感じる。
そんな私に
帰ろうとする美咲は振り返り
「真依…元気出してね
あと……今日はごめんね」
って言葉を残して走っていった。