あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
蓮は更に話を続ける。
「そんな事言っておいて…
【おいしい状況だな】って思ってる自分も居るんだけどね。」
そう言ってフワッと蓮が微笑むと、スッとその笑顔が消え…真剣な表情に変わった。
「俺…もう前に進まないと…って思ってるのに、恋愛に対してだけは、どうしてもダメなんだ…。
何をしても…どんな人を見ても…
葵を失った痛みがまだ消えてくれない…。」
そう言って蓮は右手で自分の顔を覆った…。
その蓮の仕草を見て…私は無意識に呟いたんだ…。
「私は……
その痛みごと……
蓮を愛せるのに……。」
私のその小さな声は、風に乗って海へと消えた。