あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
約束当日。
大学まで迎えに来てもらって、途中寄り道してもらって…ただ今…蓮のマンション。
リビングに通され、座ることもせずに私は口を開いた。
「蓮…早速だけど用件を言うわよ。」
「分かった…でも…その口調…恐いなぁ…。」
蓮が荷物をおろしながら言う。
「あのね…この間私がスタジオに行った日なんだけど…その前にね、蓮の高校に行ってきたの。」
「俺の高校に…奈々さんが?」
「私は父の代わりに、たまたま行ったのよ。
蓮の3月分の…高校最後のスケジュール表を持って…。」
私の言葉を聞いて、蓮が大きく目を見開く。
「蓮には教えてなかったけど…事務所として蓮のスケジュール表を学校側に提出してたの。
そして了承を得て仕事をしてもらってた。
急に予定が変更になっても、ちゃんと連絡してたの。社長の誠意ってとこかしら…。」
「そうだったんだ…。」
「あのね、悪いんだけど…その話はまたにして…ねっ。今日はね…今日は…蓮と…いや…蓮に…アルバムを完成させて欲しいの。
私も手伝うから…出来れば今日中に仕上げたい。
時間も日にちもないから…。」
「は??
日にちが無いって?しかも…アルバムを完成??
誰の…??奈々さん…誰のアルバム?」