あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
私の様子を見て、蓮がいつもの柔らかな声で話しだした。
「もう良いよ。梨花、顔を上げて?
本当は最初から、プロポーズしても無理だって分かってたんだ。
元々付き合って居た訳でもないし、梨花の心の中に居るのは、俺じゃないって事も分かってたから。」
蓮の表情があまりにも穏やかだから…甘えてしまいそうになる…。
でも…ちゃんと蓮に言わないといけない。言葉にしないと伝わらない。
「違う。違うの…蓮…。
私はずっとこの10年間、蓮から支えられてきた。
蓮から見れば、都合の良い見方なのかもしれないけど…
私…蓮の気持ちに応えられないって想う気持ちがありながら、蓮の手を離すことが出来ないでいたの。
もちろん、はじめは1人で居るのが辛い…私のマンションに帰りたくない…蓮の温もりを分けて欲しい…そういった想いからだった。
でも…段々と一緒に過ごす時間が長くなればなる程、その考えは変わってきて、
今まで支えてくれた大切で大事な人だからこそ…簡単に手を離すことが出来ないという想いに変わっていたの。
それが結果的にずっと蓮に甘えたまま…期待を持たせたまま…って状態になってて…。
思わせぶりで…勝手で…蓮の気持ちを知っていながら、ズルズルと…本当にごめんなさい。」
そこまで一気に言うと、涙が滲んでくる。