あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
離れを案内されながら、蓮の後ろを歩く横山を引っ張って、小声で話し掛けた。
「横山。3人でご飯にしてはリッチ過ぎない?」
「そうですね~。でも…社長と蓮さんをお連れするとなると、人の目が気になりますから場所を選ばないと…それに…」
「それに…何よ?」
「仕事でしか来たことないんです。だから1度はプライベートで来たかったんです。
だって社長と蓮さん居たら、支払いも気にしなくていいし…。」
イラッとしても良いはずの横山の言葉だけど、毒気を抜かれるような笑顔を見ると…まぁいいか…という気になってくる。
「それに…蓮さん、お酒の力を借りたいって言ってたでしょ。
それだけ話すのに覚悟が居るんです。社長…。部屋に入ったら纏っている鎧は脱ぎ捨てて、平山奈々としてご飯食べて、話しを聞いてくださいね。」
「え?どうして?」
「自分が平山奈々個人として聞いて欲しいと思うからです。
でも…覚悟はしてください。」
「どんな覚悟よ。」
「心の準備…っていう意味ですよ。
今自分から言えるのは、ここまでです。」
心の準備…?
1週間の休みは、梨花ちゃんとボストンに旅行に行く…それが答えじゃないの…?