あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
「すみません…。
何だか気の利いた日本語が出てこなくて…。」
恥ずかしそうに蓮が言う。
「別に英語でもフランス語でも何でも良い!
その雰囲気が出てたら!!」
そう監督が言うと、再度スタート。
蓮の雰囲気が一瞬にして変わった。
ここはスタジオの中で、セットのコスモス畑なのに…蓮が歩くと本物のコスモス畑に居るようで…風がソヨソヨと吹いてくるようだった。
蓮が私の前まで来ると、立ち止まり私の瞳を覗き込む。
それに応えるように…私も蓮の瞳を見つめた。
蓮の吸い込まれそうな瞳の中には、私が映り込んでいて…
蓮が【恋に落ちた少年】のはずなのに…
私の方が【恋をした少女】のような表情をしていた。