天使の奏でる音

有村の運転する車に乗って、久しぶりの景色を眺める。

「楽曲、出来そうですか?」

「うーん。」

依頼されている楽曲はまだだ。
イメージすら湧かない。
歌う女性の資料を見ては考えるものの、さっぱりだ。
3年前までは自分でも溢れ出てくる音を繋ぎ止めるのに必死だった。


今は壊れたピアノのように音を紡ぐことさえ出来ない。


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