天使の奏でる音
「ごめんなさい。勉強不足ですよね?」
突然、謝られてしまった。
「まだ聞いていないんです。」
申し訳なさそうに頭を下げる彼女の姿に、卑屈になっていた心が少し和らぐ。
「いや…いいんだ。聞かずにいてくれないかな?」
「えっ…?」
彼女がまだ聞いていないなら、そのままがいい。
「ごめんね。時間は大丈夫かな?」
「はい。」
藤堂さんに座るように促す。
「沖田奏(カナデ)です。バンドやってました。」