駆け抜けた少女-番外編-


「ねえ天国ってやつは本当にあんの?」

「ええ、ありますよ」

「そっか。僕は天国に行けるかな?」

「私が導きます」

「そっか」



だってさ。

だから矢央ちゃん、もう泣かないでよ。

僕は君の笑顔が見たいんだから。




僕はこの日、短くも濃い一生を終えた。

愛しい人を守って死ねて、大切な仲間達に看取られて幸せ者だ。


────暫く休もう。

少し疲れたから、どのくらい僕という人間のままあの世で過ごせるのか分からないけど、ゆっくりしてから次の世に想いを寄せよう。



それまではね──────








「矢央ちゃん、僕はずっと君の傍で君を見守ってるからね。だから君は悔いのないように生きてよ」





最後に触れられないけど、矢央ちゃんの細い身体を背後から包み込むように抱きしめた。

いつかまた逢えるその日まで────





「さようなら」




僕は星になって君と共に生きよう────












油小路のあと【藤堂平助】終


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