冷徹執事様はCEO!?
「噛みつきそうな顔をしてますね」私を見て田中はクスリと笑った。

「何か色々聞いてビックリした」

「少し歩きますか」

ホテルを出て、銀座の街を田中と並んで歩く。

休日だからか、いつもより街ゆく人々の足並みがゆったりしているように感じられる。

あからさまにフォーマルな出で立ちをしている私たちは、街中では少し浮いていた。

「どうして素性を隠してたの?」

「隠してません。燁子様に聞かれなかったから答えなかっただけです」

田中はシレっと言って除ける。

「この後に及んで燁子様はやめてよ」

「じゃあ燁子」

いきなり呼び捨てかよ。
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