冷徹執事様はCEO!?
「そう言えばさ、田中って『稜』って名前なんだよね」

「うん、そうだよ」私は航生が作ってくれたパンケーキを再び食べ始める。

「兄貴の同級生で『リョウ』って友達が昔よくうちに来てたじゃん。あれ今思えば田中稜だったのかなって」

私は口に含んだパンケーキを吹き出しそうになる。

「汚いな」航生は眉根を寄せる。

「え?そうなの?!」

「俺は寮に入っててほとんど家にいなかったから、顔はよく覚えてないけど」

確かに航生は中高一貫教育の全寮制の学校に入っていたので、長期休みくらいしか家に帰って来なかった。

「私会ったことないもん」

「いや、そんなはずない。なんだっけ?アキが気に入ってた汚いラーメン屋…」

「勝負軒!美味しかったんだから。特に餃子は絶品よ」私はムキになって言い返す。

「そう、勝負軒!そこで『リョウ』に会ったって話してたじゃん」

勝負軒、匠ちゃんの友達…

その2点を頭に思い浮かべたその時、ある想い出が蘇って来た。
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