冷徹執事様はCEO!?
ユウキの足音が聞こえなくなるのを確認すると、私はクローゼットからヴィトンの旅行鞄を引っ張り取りだした。

やっぱり、暫く雲隠れしよう。

ランジェリーや洋服、化粧品などを鞄に突っ込んでいく。

実家にいたら連日花婿候補が列をなしてやってくるだろう。

たまったもんじゃない。

田中の姿を見ただけですっかり心を掻き乱されてしまった。

このままだと頭がおかしくなりそう。


私は、まだ色々なショックから立ち直れていないこと、4日には家に必ず戻ることを愁傷な文章でしたため、パパとママに手紙を書いて残しておく。

誰にも見つからないよう細心の注意で下まで降りて行き、音を立てぬよう玄関の扉を開けると真冬の寒空の下へ飛び出していった。





< 217 / 277 >

この作品をシェア

pagetop